2/29 42期生卒業式を挙行しました

冬の寒さが少し和らぎ、春の息吹が感じられる今日、体育館にて42期生卒業式を挙行しました。ご来賓の皆さまをお招きしての実施は、コロナ前以来実に5年振りのことです。さまざまな経験を乗り越えて迎えた今日の卒業式。これから旅立つ卒業生の皆さんに幸あれと祈ります。以下に本日の校長式辞を記します。

見晴るかす生駒の山並みが麗しく輝き、淀川を渡る穏やかな風が春の訪れを告げる今日の佳き日に、大阪府議会議員様、寝屋川市教育委員会ご代表様をはじめ、ご来賓の皆さま方のご臨席を賜り、ここに第42回大阪府立西寝屋川高等学校卒業証書授与式を挙行することができました。卒業生一同はもちろんのこと、在校生・教職員ともども、大きな喜びを感じております。また、本日ご多用のなかご出席いただきました保護者の皆さまにも、心よりお礼を申しあげます。

ただ今卒業証書を授与しました187名の卒業生の皆さん、卒業おめでとうございます。今日皆さんが手にする卒業証書は、非常に重いものです。もちろん、物質的な紙の重さのことを言っているのではありません。卒業証書を手にするまでに積み重ねた高校3年間の日々は、楽しいことや、嬉しいことばかりではなかったはずです。苦しいことや、悲しいこともあったことでしょう。そういったさまざまな経験が、卒業証書にはびっしりと詰まっています。経験が豊かであればあるほど、卒業証書は重くなっているはずです。卒業生の皆さんには今日卒業証書を手にしながら、その重みをしっかり感じてほしいと思います。

まずは、皆さんが本校に入学してからの3年間を振り返ってみましょう。入学当初は、コロナ禍による学校生活の制限が始まってから1年。感染症対策で敏感になっている世のなかの状況が、この先どうなるのか見通せないなかで、高校生活が始まりました。授業や行事においても感染対策が最優先される状況は以前とあまり変わらず、やりたいことが思うようにできないことで、不満を募らせることも多かったことでしょう。そのような状況においても、皆さんそれぞれで何ができるのか工夫を重ね、学習活動はもちろんのこと、体育祭や文化祭、修学旅行などの行事も一つひとつ乗り越えることができました。3年生になってからはコロナが五類に移行し、以前のような学校生活がようやく取り戻せると感じたのも束の間、それぞれの進路実現に向けて、慌ただしい日々を送ることとなりました。そして迎えた今日の卒業式。今日は高校生活のゴールであると同時に、新しい生活に向けたスタートでもあります。これまでさまざまな苦労があったことと思いますが、その苦労は絶対に無駄にはなりません。すべての経験が、これからを生き抜くための力になります。どうか自分に自信を持ってください。

さて、これからやってくる未来社会は、Society5.0と呼ばれています。これまでの情報社会Society4.0に比べると、先端技術が格差なく社会に行き渡り、人工知能AIやロボットが自然と生活に溶け込むような、人間中心の社会がめざされています。技術の発展に伴って社会の変化はますます加速し、これから5年後、10年後の世界がどうなっているのか、まったく予測不能といっても過言ではありません。加えて、この3年間だけを振り返っても、コロナの蔓延、世界各地で起こる紛争、大きな災害と、予想もしなかったことが数多く起こっています。平穏な世界を望みつつも、これから先、世界でも、皆さんの身の周りでも、予想しないことが起こるでしょう。皆さんがこれから社会に出て困難にぶつかったとき、どうすればよいのでしょうか。

先日、動画投稿サイトを見ていると、元プロテニスプレーヤーで、現在スポーツキャスターやタレントとして活動する松岡修造さんが、次のように言っていました。「みんな、竹になろうよ。竹ってさあ、台風が来てもしなやかじゃない。台風に負けないんだよ。雪が来てもね、思いっきりそれを跳ね除ける力強さがあるんだよ。そう、みんな、竹になろう!」そう熱く語る松岡さんを見て、私は思いました。どうしようもない困難にひとりで立ち向かえるほど、人間は強くありません。しかし、困難をありのままに受け止め、しなやかに跳ね返す「竹」になることはできます。皆さんがこの先、それぞれの就職先や進学先で困難を感じたとき、困難を受け止められずに折れてしまうのか。それとも、竹のようなしなやかさで困難を跳ね返し、さらに上をめざすのか。答えは改めて言うまでもありません。皆さんが高校生活のなかで得た経験は、すでに竹のようなしなやかさを与えてくれているはずです。あとは、これからいろいろな成功や失敗を経験して、さらにしなやかな竹になるように、皆さん自身が経験を積み重ねるしかありません。タケノコが立派な竹に成長するように、これからの皆さんの活躍に期待しています。

さて、本日ご臨席を賜りました保護者の皆さま、お子さまのご卒業、誠におめでとうございます。入学前に比べるとひと回りもふた回りも大きく成長されたお子さまの晴れ姿をご覧になられ、感慨もひとしおのことでしょう。葛藤の多い青春時代ゆえ、ときにはぶつかり合うことがあったかもしれません。しかしいかなるときも、一貫してお子さまに寄り添い、成長を支えていただきましたことに、心から敬意を表します。また、本校の教育活動に多大なるご理解とご支援をいただきましたことに、教職員一同、深く感謝を申しあげます。

結びになりますが、卒業生の皆さんにとって、未来への旅路が明るいものでありますよう、健康と活躍を心から願い、式辞といたします。

令和6年2月29日 大阪府立西寝屋川高等学校長 谷廣 進一